はんこでよく用いられる書体は下記の6書体。長年の慣例を元にした書体で、それぞれの文字には特徴がある。書体の決まりはないが、例えば就職のための認印を作る場合、篆書など判読しにくい文字よりも、読みやすい楷書などを選んだ方がいいだろう。実印については逆で、篆書が主流だ。それは実印の性格上、一般の人が読みにくく偽造しにくいという特性が買われいると言われている。
印鑑登録についても書体のきまりはないが、「判読できない文字は不可」とされている。各市町村によって規定が違うので、市町村の印鑑登録規定を確認するといい。
篆書体(てんしょ)
古くから印鑑用につくられた書体
古くから正式な印鑑に使用された書体では、漢字の始まり、中国の秦の時代に文字を統一した漢字の紀元--「篆書体」(小篆とも呼ばれる)。国宝「金印」の印面にも篆書体で篆刻されている。
現代では、日本人が最も目にすることの多い、紙幣、お札に捺してある印鑑の書体も篆書体だ。篆書は、基本的に縦長(たてなが)の字姿で、線に太い細いがないもの。
古印体(こいん)
日本で進化した独特な書体
はんこらしさでいうと、「古印体」は昔、石や金属に彫られた文字が腐食して、交差している部分が埋まったり、かけたりして、丸みを帯びた文字のこと。風雅な味わいを活かしたやわらかい、日本独自の文字のため大和古印体とも呼ばれている。
印相体(いんそう)
偽造しにく、セキュリティの高い書体
「印相体」については、篆書体の変形したもので、流派は様々があり、デザイン性が高いため、統一されていない。
文字がほぼ枠に接しいて、丸みを帯びた線が特徴で、偽造しにくいように複雑な文字となる独特の書体。
役所で文字照会ができずに印鑑登録できない事がある。事前役所でご確認すること。
隷書体(れいしょ)
文字の幅が広く、起筆・終筆に特徴がある
前漢の時代の篆書(てんしよ)を省略して簡略化され「隷書体」が生まれた。現代の楷書体に近い。
今はお札(壱万円)の文字にも使用されている。隷書は、基本的に横長(よこなが)の字姿で、線に太い細いがあって波礫(はたく)という髭(ひげ)のようなものがあるもの。
行書体(ぎょうしょ)
楷書の画をやや崩した書体
楷書の画をやや崩した書体だ、日常的な書体とみなす意識が強く、文書としては広く流布している。流れるように書かれた筆書体でありながら、字画の省略は少なく、楷書への想像が容易にできる。
現代日本では、行書は日常的な筆記体として広く通用している。雰囲気がやわらかいため、
女性に好まれることが多い。
楷書体(かいしょ)
日常的に使用されている書体
隷書をわかりやすくした書体、一画一画を続けずに書くのが特徴。現在では漢字のもっとも基本的な字形であるといわれ、日常的に使用されている書体。
使用頻度が高い認印を楷書体にお勧め。